ミステリと言う勿れ 10巻の解説「してんちょう」

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「ミステリと言う勿れ」10巻「してんちょう」が明かされます。10巻の登場人物とあらすじと解説、感想を紹介しています。内容にはネタバレがあります。

<主な登場人物>

久能 整(くのう ととのう) 主人公 東英大学教育学部2年生。

ライカさん 大隣総合病院に千夜子が入院中。

<大隣警察署>

青砥成昭(あおとなりあき) 巡査部長 目がするどいメガネの男性。鍵山事件で無実に人を逮捕した冤罪歴あり。

池本 優人(いけもとゆうと) 巡査 若い男性。妊娠5ヶ月の妻がいる。

風呂光聖子(ふろみつせいこ) 巡査 若い女性。

乙部 克憲(おとべかつのり) 巡査。娘さんがいる。

2021年12月15日発行

著者:田村由美

「flowers」2021年8、10~12月号掲載作品

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エピソード 14-3 渉猟の果て

登場人物

赤間友香(あかまゆか) 青砥さんの娘。

赤間敦子(あかまあつこ) 青砥さんの元妻。青砥さんと離婚した。

井口虎雄 竜樹くんのお父さん。バード急便に努めるシングルファーザー。子煩悩。

井口竜樹(たつき) 7歳。小学2年生。

塩川夫妻 鍵山事件の公判で証言台に立った。

整くんのアパートの大家さん

備前島警部 横浜港中央署の名物刑事。

南出岳(みなみでがく) 小学1年。男の子。鍵山事件のさなか行方不明になった。

久我山実知 「週刊リアル」の記者。

犬を散歩してる男性 南出岳くんが男性と歩いているのを目撃した人物。

蘇我実(そがみのる) 通称:イルカ先生。世田谷にあるカナタスイミングスクール、ジュニアコースの先生。友香ちゃんはここに通っている。天秤座のペンダントをしている。井口竜樹くんも同じスクールに通っていた。

あらすじ

前回、「してんちょう」は青砥さんに井口竜樹くんを誘拐するよう指示します。

青砥さんと整くんは、井口さんの家をたずねますが留守でした。

身動きが取れなくなった青砥さんと整くんは途方にくれます。

●してんちょうは何者なのか。

●なぜ友香ちゃんを誘拐したのか。

●8年前の鍵山事件との関係があるのか。

整くんは考えてみたものの「何もわからない」まま「してんちょう」から電話がかかってきました。

青砥さんは井口竜樹くんが旅行中のため留守だと伝えます。

すると「してんちょう」は「旅行じゃないよ」「あんたには絶対できないと思ったから」「先に誘拐しておいた」と言います。

そして、青砥さんに竜輝くんを探し出すように言います。

「日付が変わる前に捜しだせ」「間に合わないと死んでしまうかもな」と伝えヒントは「都内」だといいます。

通話が終わったあと整くんと会話をしている間に、青砥さんは敦子さんが車のバックミラーの影に防犯カメラを設置していたことを思い出します。

するとカメラには鍵山事件に関わりのある塩川夫妻が映っていました。

今回分かったこと

今回、話しがどんどん進展し、いろんな情報が出て来ました。

  • 友香ちゃんの誘拐は鍵山事件絡み

青砥さんの娘、友香ちゃんが誘拐されたのは「鍵山事件絡み」で起きていることがハッキリとわかりました。車の防犯カメラに塩川夫妻がうつっていました。友香ちゃんを連れ去ったのは、塩川夫妻でした。

整くんを除いて「青砥さん」「小諸さん」「塩川夫妻」が「してんちょう」を中心に集まっていたからです。

  • 事件現場にバード急便の配達員が多くいた

青砥さんは「井口虎雄(竜樹くんのお父さん)」に覚えがないと言いましたが、事件現場に「バード急便」の配達員が多かったらしく、不審な人物を目撃していないか聞き込みがありました。

  • 神奈川県の事件現場からブルーシートとタオルが出てきた

神奈川県で起きた土砂崩れの現場から子供の白骨遺体が複数みつかりました。その中には「鍵山事件」で使われていたブルーシートとタオルも一緒に出てきた。また、「鍵山事件」の最中に行方不明になった南出岳くんの遺体がそこから発見されました。

「鍵山事件」と「神奈川西部で発見された白骨遺体」は関係があるのか?白骨遺体は古いものだと20年前のものもありました。

  • 塩川夫妻も子供を誘拐されている

友香ちゃんを連れ去った塩川夫妻も子供を誘拐されていました。友香ちゃんが電話の向こうでそう言いました。

  • 井口竜樹くんは友香ちゃんと同じスイミングスクールに通っていた

してんちょうが青砥さんに井口竜樹くんの誘拐を支持するために作ったビラに、水泳キャップをかぶった竜樹くんの写真がありました。そこから井口竜樹くんと友香ちゃんが同じスイミングスクールに通っていたことがわかりました。

  • イルカ先生(蘇我実)がしてんちょうの可能性

友香ちゃんの通っていたスイミングスクールのイルカ先生は3日前からスクールに来ていない。体格がよくて顔が四角い形をしています。天秤座のペンダントもしています。

青砥さんと整くんは、イルカ先生の家で井口竜樹くんを発見しました。しかし、すでに亡くなっていました。

エピソード14-4 円になる

登場人物

小諸武史(こもろたけし) 鍵山事件の犯人と疑われている。少女の写真を撮るのが趣味。

小諸さくら 娘。

塩川芳子(しおかわよしこ)  鍵山事件の公判で証言台に立った。 (夫婦)

塩川勇(しおかわいさお)   鍵山事件の公判で証言台に立った。 (夫婦)

塩川美琴(みこと) 娘。

久我山実知(くがやまみち)  「週刊リアル」の記者。

久我山颯介(そうすけ) 息子。

井口虎雄 バード急便の配達員。シングルファーザー。鍵山事件後、離婚をしたので苗字と名前が変わった。

井口竜樹(たつき) 息子。

赤間友香(あかまゆか) 青砥さんの娘。

リモート会議の説明

青砥さんと整くんは「してんちょう」に「奥多摩のゆめ心地キャンプ場」に、竜樹くんも連れていくように支持されます。

その頃、大隣警察所では青砥さんと連絡がつかなくなっているのでNシステムを使って、こっそり車の動きを追っていました。そこへ池本さんのスマホに知らない番号から電話がかかってきました。

※Nシステム・・・自動車ナンバー自動読み取り装置。

青砥さんと整くんは「奥多摩 ゆめ心地キャンプ場」に到着しました。そこにはコンテナ風のプレハブ簡易キャビンがいくつかあり、その中の1つ「5番」に入るように言われます。

2人が中にはいると外からカギがかけられました。

キャビンの中には冷蔵庫、トイレ、ベット、テレビもありました。そして「してんちょう」はテレビのモニターを使って会議をはじめました。

モニターには1番~5番まであり、各キャビンにそれぞれ入っています。

<キャビン>

1番:井口虎雄、颯介くん(久我山の息子)

2番:久我山記者、さくら (小諸の娘)

3番:小諸武史、美琴ちゃん(塩川夫妻の娘)

4番:塩川夫妻、友香ちゃん(青砥の娘)

5番:青砥さん、整くん、竜樹くん(井口の息子)

<リモート会議のルール>※下記図を参照

●親と子は天秤の左右に別々に乗ってるとイメージします。例えば、青砥さんが⑤で友香ちゃんが④。

●親の言動によって子供のポイントが上下します。例えば、友香ちゃんにポイントが入れば④の塩川夫妻も一緒に下がります。

親のポイントが増えると親の天秤は下に下がりますが、子供の天秤は上に上がる。完全に傾いてポイントがゼロになったらそちらに乗ってる人の命がなくなる。

(軽い方がダメ)

●天秤の便宜上、青砥さんが1つのはかり、整くんと竜樹くんが1つのはかりと考える。

●6個の天秤は連動している。(1、3、5が下がると2、4、6が上がる)

●ポイントはしてんちょうの独断で増減される。

<天秤>

① 井口虎雄久我山颯介くん

② 久我実知小諸さくらちゃん

③ 小諸武史塩川美琴ちゃん

④ 塩川夫妻友香ちゃん

⑤ 青砥さん

⑥ 整くん井口竜樹くん 

※親子で別々のはかりに乗っているのが分かる様に色分けしています。

エピソード14-5 輪舞(ロンド)

登場人物

田中静雄(たなかしずお) 離婚前の井口虎雄さんの名前。

美代子(みよこ) 井口さんの元妻。娘さんと遠方で暮らしている。

塩川夫妻、井口虎雄、久我実知の告白

「してんちょう」の「してん」は天秤の「支点」だと分かりました。

「支点ちょう」は司会進行を青砥さんに指名してリモート会議が開始されました。

鍵山事件の犯人は支点ちょうを含めこの中にいる。青砥さんは「蘇我実(イルカ先生)を知っているか」質問をはじめますが誰も知りません。友香ちゃんはスイミングスクールのコーチなので知ってるといいました。そして、井口さんも息子が通っているので知っていると言いました。

青砥さんは「支点ちょう」は蘇我実なのかと質問しました。支点ちょうは答えませんでしたが、友香ちゃんが「しゃべり方が全然違う」と言います。

鍵山事件がおきる前の年に、母親と一緒にいた幼女の写真を小諸がとります。母親に断りもなくいきなり撮影したことに、母親は激怒しました。この女性は井口さんの元奥さんでした。

小諸はこの一件から鍵山事件の犯人として疑われることになりました。この女性(井口の元妻)に対して怒りを抱いていました。井口さんは事件後、妻との関係が悪くなり離婚しますが、小諸に恨まれているんじゃないかと思い、名前を変えましたと説明します。

塩川夫妻は鍵山事件で小諸を見たと証言しましたが、実際はハッキリ見えませんでした。小諸が犯人だと疑われていたのでそうだと思い込んでいたことと、取材されて注目を浴びてることが嬉しかった。だからあの時「小諸を見てはいなかった」と告白します。

井口さんは現場近くで配達中、マンションから出てきたら使っていたカートの位置が変わっていた。誰かに使われたかもしれないと思ったけど、ミスが続いていたので言う事が怖かったため、警察に通報も出来なかったと告白します。

久我実知は自分に情報を流したのは本庁の人物だといいます。ある事件で知り合いハニー・トラップ(色仕掛け)をつかって相手の弱みを握ったと告白します。

エピソード14-6 水際の耽溺

※耽溺(たんでき)・・・良くないことに夢中になって、それ以外の事をかえりみない事。

登場人物

赤間敦子(あかまあつこ) 友香の母。青砥さんの元妻。検事。

井口、小諸、蘇我のつながり

井口虎雄

井口は自分がしてんちょうであることを簡単に認めました。そして、神奈川の西部でおきた土砂崩れによって発見された白骨遺体についても。井口は、自分の過去の話をはじめました。

それは1つの誘拐事件が発端でした。

井口は静雄という名前のように静かで目立たない子供でした。ある時、自分とは真逆で優秀でかわいくておしゃべり好きな友達と公園にいました。そこへ1人の男性が近づいてきて優秀な少年に声をかけました。

「君は特別な子供だ」「君は選ばれたんだ」といい、世界を担う特別なプロジェクトの為の教育を受けられると男の子を連れていきます。男の子は公園で1人立たずんでいる静雄の方を振り返ります。その時の少年の自慢げな表情を今でも忘れられないと井口は言いました。

そして「自分は軽い存在なんだ」とだから選ばれなかったと実感したのでした。

その後、自分と同じような子供を見つけては2年おきに首をしめて埋めました。その子たちの存在は軽かったので死んだ方が幸せだと考えたからです。

小諸武史

短パン、ショートカットの目が大きいハツラツとした少女が好みでした。自分の娘も幼少の頃はショートカットでした。

彼は、井口虎雄の奥さんが連れていた娘さんが自分の娘に似ているからと写真をとります。それに気づいた一緒にいたお母さんが激怒します。その後、彼女は妊娠中であったこともあり、不安定になってしまいます。そこから夫の井口をなじるようになって家庭は壊れてしまいました。

井口は小諸をマークするようになります。すると小諸は少女の盗撮をしていました。そこには、「小諸に選ばれた少女」と「小諸に選ばれなかった少女」がいました。井口は「小諸に選ばれなかった」少女を「かわいそうな軽い存在」と思いました。

小諸は激しく泣いて抵抗する娘に大好きだからと無理やり嫌がることをやり続けました。

娘さんが激しく泣く声を近所に住んでいた塩川夫妻は聴いていました。夫婦は小諸夫人と娘さんが家を出ていったことに安堵していましたが、小諸に対して不信感を持っていました。

蘇我実(イルカ先生)

井口竜樹くんは体が弱かったため、お世話になっていたドクターに水泳はいいとすすめられて、スイミングスクールに通い始めた。そこで、井口は子供の頃に友人を誘拐したあの男がいることに気がつきます。

たまたま通っていた医者が一緒だったので、2人は知り合います。酒の席で井口は子供の頃にあった誘拐について蘇我に質問しました。蘇我は時効になってるからいいかと誘拐を認めました。連れ去った子供を海外に売り払うバイトをしていたそうです。

蘇我先生は海外旅行が好きで、突然海外に行くこともあるとスイミングスクールの人が青砥さんに説明していました。だから蘇我さんが3日ぐらい無断で休んでも不審に思っていませんでした。

10巻を読んだ感想

10巻で1番イヤだと思ったのは「小諸武史」と「蘇我実」です。小諸は気持ち悪し蘇我実はすごく汚い人だとおもいました。

その一方で青砥さんがとても愛情深いお父さんだということが分って嬉しい気持ちになりました。最後に青砥さんの元妻が登場しましたが、「あっちゃん」と呼ばれていたり「とても強い女性」と青砥さんが言っていたのでプロレスラーの様な女性をイメージしていました。実際は全然違いました。

「ミステリと言う勿れ」の好きなところに1つは、「犯人の心情」を丁寧に掘り下げて描いてくれるところです。子供のころにどんな環境で育ち、何を思って育ってきたのか、どのように犯罪につながっ行ったのか、読み物として面白いです。

井口虎雄の過去の話しから、彼は寂しい人だったんだなあと思いました。静かで大人しい子だからといって「ほっといてもいい子」というわけではないと思います。

その子供には「キラリと光る」部分があったはず・・・そういう部分を親が認めてあげて褒められたら、親がたっぷり愛情を注いであげられていたら、少なくとも「軽い存在」なんて考えなくてもいいぐらいには、愛情を注いでほしかったです。

とは言え人を殺せるって1線をこえていますよね。この1線がこえられる心が理解できないですが、今回井口は「もう人じゃないんです」といっていました。「人じゃない」といってるってことは「人を意識しているのかな?」まだ「人のこころを少しはもってるのかな?」って思いたいです。

整くんは相変わらず頭キレきれで素晴らしかったです。心の優しい整くんが、こういう事件に巻き込まれるのが可愛そうに思えちゃうんです。でも、整くんの存在が読んでいて安心できる部分だったりもするので、引き続き中心人物として登場してほしいです。

そして12星座出そろいましたね。11巻からクライマックスに向けての話しがはじまるんでしょうか?

「ミステリと言う勿れ」は大好きな漫画なので終わらないで、永遠につづいて欲しいです。

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